NCEP/NCAR 再解析データには、 地表面温度(skin temperature; 地面温度、気温ではない)および 2m 気温にはエラー(欠測値)が存在する。 客観解析データにエラーが存在するのは奇妙な気もするが、事実である。 その理由は以下の通り:
再解析では、地表面温度は診断的に求められる。 診断に用いられるのは、 大気と地表面との境界における
したがって、地表面付近で弱風(0.75m/s 以下)の時、 地表から大気に向かう乱流顕熱フラックスが(実情に合わないくらい) 減少することになる。 このとき、他のフラックス量とバランスせねばならない(熱収支式を考えるべし) が、そのバランス状態は放射フラックス、 とりわけ上向き長波放射フラックスおよび (下向き)地中熱フラックスの増大が必要となる。 すなわち、熱収支式がバランスするために地表面温度が上昇せねばならなくなる (筆者注釈:潜熱フラックスに配分されない理由が今一つ納得できん。 原文には 『潜熱フラックスは地表面温度に依存しないので 顕熱フラックスの減少は上向き長波放射フラックスおよび 下向き地中熱フラックスの増加によってバランスされねばならない』 と書いてあったが。 蒸発効率などが変わらない場合でも潜熱フラックスは弱風時に 最も変化量が大きいが ...?; 『水環境の気象学』図6.3参照)。
2m 気温は、地表面温度とσ面最下層(sigma=0.995;高度約40m程度)の内挿から 導出されるため、このエラーをひきずってしまう。
作成時の入力データのミスにより、 1974-1994年 の 積雪に全て 1973年の積雪データ を与えてしまっている。 すなわち、1973-1994年の間は毎年同じ量だけ雪が降っている事になってしまった。 とりあえずcheckしてみたところ、『地上気温(2m高度)でもそれほど大きな影響は無い』 とされているようだが、冬季の地表面付近のデータを使用する場合には データ自身の間違いの可能性を考慮した上で使うか使わないかを決めるべきだろう(私見)。 なお、積雪を修正しての再解析もなされているらしい(未確認)。
※上記の情報は NCEP/NCAR Reanal FAQ ; "Some Problems with the Snow Cover" より得ました。
積雪量は積雪が存在する地点での表面温度(地上気温?どっちだ?)と 線形関係にあると仮定して計算されている。 すなわち、氷の状態で降水があれば積雪深は増加するし、 0度を上回れば融解する、という事だろう(個人的推測)。 snow cover データは NESDIS の weekly snow cover を用いている。 つまり、積雪深データとして存在してはいるが、観測値としての 積雪深が入力データに入った結果ではなく、衛星観測による snow cover 地域を考慮した気温分布が反映されたデータに過ぎない。 したがって、NCEP-NCAR Reanal. の積雪深データ(WEASD)は、 データ解析で使用するには不適当であろう。
※上記の情報は NCEP/NCAR annual CD-ROM 内、 の "details/weasd" というファイルより得ました。
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