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大気汚染関連情報 (hysk)

大気汚染関連情報

大気汚染関連研究に関する個人的メモ.

以下は,大気汚染関連ディレクトリ以下の別ページ:

国内の大気汚染の現状

最新の大気汚染状況は,環境省の大気汚染状況を参照.

下記は以前(H27=FY2015)の大気汚染状況を主に掲載(参照: 平成27年度大気汚染状況(環境省); update: 2017-12-14).

余談だが... 平成27年度 = 2015年度の事. 国の報告書は,全て西暦で統一してくれないかな... 科学技術関連の報告書にまで元号を無理やり使うことはないだろうに. 元号が変わるたびに,西暦へ変換するための無駄な時間が増える.日本の仕事効率が世界的基準で見て低い原因の一つになっているのでは? 元号を使うことによる仕事効率の低下量,誰か推計してないのかな?

  • 環境基準達成率は,光化学オキシダント, PM2.5を除けば,ほぼ改善されたと言える(NO2, CO は達成率100%,SPM, SO2 は達成率それぞれ99.6%,99.9%).
  • 光化学オキシダントの環境基準達成率 = 0% (一般局・自排局ともにすべて非達成)
    • H25年度のOx環境基準判定した測定局数は1152局.うち4局が環境基準達成. 環境省の報告書では,どの測定局か未記載(参考:H25大気汚染状況について, 3. 光化学オキシダント (p.9)) ただし,環境GISで,光化学オキシダントの 60 ppb 超過日数を選択表示すれば確認できる.
  • PM2.5の環境基準達成率(一般局) = 74.5% (H25の一般局では16.1%,全492局) (H27年度の一般局は全765局); 長期基準達成率 = 80.7% (H25: 44.3%), 短期基準達成率 = 78.3% (H25: 16.3%)
    • 2016年度は,さらに達成率が高くなると思われる. 参考: 鵜野ほか(2016,大気環境学会誌)(DOI: 10.11298/taiki.52.177)
    • 有効測定局数は,年により大きく異なる. 一般局で見ると,H22(FY2010): 34局,H23(FY2011): 105局,H24(FY2012): 312局,H25(FY2013): 492局,H26(FY2014): 672局, H27(FY2015): 765局. 年々変動を議論する場合は要注意.
  • 過去の濃度レベルや高濃度エピソードを探したい時(建設中; 2016-06-09): 日本全国および国内の領域別濃度時系列
    • Ox, SPM, PM2.5, NOx に関して,高濃度時の領域内における 代表的な濃度レベルやその空間的なバラつきをざっくりとみるのに使う(予定).
    • 領域内の代表的濃度: 領域内の全測定局(一般局・自排局を区別しない)濃度の中央値,空間的ばらつき: 同じく10% & 90%値.
    • 設定領域: 日本全体 + 8地域(沖縄,九州,中四国,近畿,中部,関東,東北,北海道).
    • 解析期間: 1992-現在.PM2.5 のみ 2013-現在. 濃度レベルが1990年代と近年とでは大きく異なる(特にNOx, SPM). 年々の比較を容易にするため,同一要素であれば全期間・季節を通して同一のy軸スケールで描画.
    • 更新: 不定期.個人所有PCでは,毎日 04:45 JST 頃に前日までを cron にて更新.

大気環境基準 National Air Quality Standards in Japan

大気環境基準(Air Quality Standards; Environmental Quality Standards))

大気環境基準のまとめ. Summary for air quality standards (AQSs; or environmental quality standards (EQSs)) of pollutants in Japan.
物質名 環境基準(短期) 環境基準(長期) 測定方法 memo
SO2 daily mean: 0.04 ppmv 以下 & hourly: 0.1 ppmv 以下 (S48.5.16) 2%除外値の daily mean: 4 ppbv 以下.
ただし,前述基準値を超過する高濃度日が2日以上連続したら環境基準非達成
溶液誘電率法 or 紫外線蛍光法
See 吉成 (2015, 大気環境学会誌)
CO daily mean: 10 ppmv 以下 & 8-hour mean: 20 ppmv 以下 (S48.5.8) 2%除外値の daily mean: 10 ppmv 以下.
ただし,前述基準値を超過する高濃度日が2日以上連続したら環境基準非達成
非分散型赤外分析計を用いる方法
SPM daily mean: 100 µg/m3 以下 & hourly: 200 µg/m3 以下 (S48.5.8) 2%除外値の daily mean: 100 µg/m3 以下.
ただし,前述基準値を超過する高濃度日が2日以上連続したら環境基準非達成
(フィルタ補集と等価とみなせる)光散乱法,圧電天秤法,ベータ線吸収法
NO2 なし 98%値 daily mean: 40 to 60 ppbv の範囲またはそれ以下 (S53.7.11);
年間の有効観測日のうち,低濃度側から98%値で評価
ザルツマン試薬を用いる吸光光度法またはオゾンを用いる化学発光法
Ox hourly: 60 ppbv 以下 (S48.5.8)
hourly の年間最高値を使用
なし 中性ヨウ化カリウム溶液を用いる吸光光度法もしくは電量法,紫外線吸収法またはエチレンを用いる化学発光法
PM2.5 daily mean 98%値 ≤ 35µg/m3 以下 annual mean: 15 µg/m3 & daily mean: 35 µg/m3 以下 (H21.9.9; 2009-09-09) (フィルタ補集と等価とみなせる)自動測定法を使用. 具体的には,ベータ線吸収法,フィルタ振動法(TEOM; 環境基準判定には用いない),光散乱法. ベータ線吸収法と光散乱法のハイブリッドも挙げられている. (環境大気常時監視マニュアル 第6版,3.6.3 - 3.6.5節参照),
  • See also PM2.5 注意喚起のための暫定的な指針(環境省)
    • 日平均の暫定指針値: 70 µg/m3 を超過, 注意喚起判断に用いる値: 85 µg/m3 超過(5-7時平均; 3hr), 80 µg/m3 超過(5-12時平均; 8hr)
  • National Ambient Air Quality Standards (NAAQS), USA: US EPA の環境基準.
    • primary と secondary という2つの基準値.両者が同じ値となる場合もある. primary が喘息患者(asthmatics)・子供・老人など,sensitive な人たち (日本語では『高感受性集団』などと表記される)に関する基準. secondary は公衆衛生全般に関する基準.例えば視程悪化や動植物(農業生産物も含む)や建築物など.

排出規制

ひとまず,自動車排出ガス規制について,自分なりにざっくりとまとめた(2015-09-07). 間違い or 正確さにかける表現があると思われるので,気付いた方は御指摘を.

とはいえ,あまりにも「正確さ」を追求しすぎたら,単に法律の条文を掲載するだけになってしまう. 平易に概要を掴むためには, ある程度の情報集約化・情報切り捨ては仕方がないだろう.
割り切ることも必要.

大気汚染常時監視ネットワーク

 全般情報

 観測値

常時監視結果に関する情報まとめ. 情報公開しているサイトへのリンクなど.

See also 大気科学データ情報 > 大気質(大気汚染物質)データ情報

  • つくば大気質モニタリングデータリアルタイム測定結果(速報値)
    • 国立環境研究所内にある大気モニター棟で測定値.1995年以後の月平均値(年別CSV)がダウンロード可能.
    • 測定項目: SO2, SPM, PM2.5, NO, NO2, NOx, CH4, NMHC, O3.ただしPM2.5の測定期間は未確認
  • 大気汚染の常時監視結果(国立環境研,環境GISより)
    • 年間・月間集計値などを表示.メニュー形式で表示項目選択できる. 拡大・縮小も出来る. 期間平均濃度など,基本統計値を簡便に見ることが出来る.
    • もし可能なら,複数(せめて2要素)の同時表示も出来ると面白い. 1つの画像に2要素表示は見づらくなるだけだが, 横並びで2枚の画像表示させれば,比較検討しやすいので.
    • 私見だが,そらまめ君 も これと同じインタフェースにするべきだと思う. 現状のそらまめ君 web は,非常に見づらい.
  • 大気汚染常時監視局データ(速報値)の広域分布図(千葉大CEReSデータベース一覧より)
    • そらまめ君 (環境省大気汚染物質広域監視システム.Atmospheric Environmental Regional Observation System: AEROS)の速報値データを使用
    • 作図要素はSPM, Ox, SO2, NOx
    • 地図は全国版,西日本・南西諸島版など,4種類
    • 画像更新間隔は1日1回(午前8時頃),前日分まで
    • 一部画像には地上風(気象庁GPV MSMによる予報値)も記載

 予測値

大気汚染予測数値モデルシステムによる予測値.

  • 国内 (Air quality forecast in Japan and/or its surrounding area)
  • 国外
    • 北米 (O3): Air Quality Forecast Guidance (US NOAA, National Weather Service)
      • アメリカ北東部だけなら Sep2004以後,CONUS (アラスカ,ハワイを除くいわゆる米国本土) では Sep2007以後,全国に拡大したのは Sep2010 以後
    • 北米 (PM2.5): National Air Quality Forecast Capability (NAQFC) (US NOAA, National Weather Service, Office of Science and Technology Integration)
      • 全国の予測は Feb2016 以後

 光化学オキシダント (Photochemical Oxidant; Ox)

そもそも環境基準が1時間値だけで決まっているのがおかしい.
他の要素は日平均値のパーセンタイル値などの統計値で定められているのに,光化学オキシダントだけは1時間値が年間に一度でも基準値を超過したら, それで環境基準が非達成と判定される.
バックグラウンド濃度がほぼ 60 ppb に達する現代では,環境基準として全く意味を持たない.

 春季: 離島・西日本などでの高濃度

Under const.

 盛夏期: 大都市近郊から周辺部

Under const.

 測定方法・校正法について

  • 測定器の校正方法,2010年度以後から大幅に変更.長期の全国データ解析を行う場合には要注意. 測定器の校正精度が向上した(はず). See オキシダント測定器の校正法について(国環研・向井さん), H23年度光化学オキシダント調査検討会(第3回)資料2として掲載.
  • 光化学オキシダント関連情報(環境省):
    • 光化学オキシダント調査検討会の議事資料などは参考になる. 特に,H23年度は報告書として3つのPDFにまとめられている.要チェック.
  • hoge

 浮遊粒子状物質 (Suspended Particulate Matter; SPM)

 (従来型の)都市大気汚染の影響

国内起源の大気汚染,と言い替えても大外れではないだろう. 1960年代・70年代などから長らく問題視されていた, 「従来型」のSPM高濃度現象は,大部分がこれ.

晩秋から初冬期,東京などでは放射冷却などにより夜間〜日の出前の時間帯で 地表面付近で気温低下し,安定層(気温逆転層)が形成される事がある. この時,地表面付近から排出された汚染物質は鉛直混合されにくくなるので, 地表面付近に滞留しやすい.

汚染物質濃度が高濃度となれば,それらから生成されるエアロソル(2次生成粒子)の量も増加する. その結果,地表付近で極端なSPM高濃度を観測することがたびたびあった. しかし,様々な排出規制などが効を奏した結果,近年(1990年代後半以降)では 晩秋から初冬期のSPM高濃度の頻度は激減した (早崎ほか 2007, 大気環境学会誌 p.188-).

2000年代になると,環境基準を超過するようなSPM高濃度イベントは, 晩秋から初冬期ではほとんど発生していない.

 黄砂(Asian dust)の影響

一番興味のあるところなのだが... それがゆえに,書きたいことが多すぎる. とりあえず pending.

 煙霧(haze)の影響

2000年代になってから大きく取り上げられ始めた. 煙霧現象による視程悪化は,西日本では以前から春季に多発していた.

 微小粒子状物質 PM2.5

思いつくままに列挙.

  • 2009年9月より環境基準が設定された.
  • SPMと同様,気象庁の現在天気観測では黄砂や煙霧などとして報告される事が多い.
  • (当然のことだが)PM2.5 による高濃度エピソードは,越境輸送だけでなく国内の発生源からの寄与も大きい.特に大都市近郊では. 高濃度エピソードが発生すると,あたかも全てを周辺国からの輸送であるかのように報道する・個人レベルで主張するのは不誠実である.
    • マスメディア関係者には,慎重かつ公正な報道を心がけてもらいたい.
    • 報道を受け取る側の国民は,憶測や根拠のない噂話などを個人SNS等を通じてむやみに拡散しないよう,冷静に対応せねばならない.
    • 研究者は,事実に基づく考察をおこない,論理的に矛盾のない,かつ定量的な報告が出来るように努めなければならない. 迅速さは大事だが,正確さを忘れてはならない(自戒を込めて記す).

国内の大気汚染データ

主に国内の大気汚染データ(大気汚染常時監視局データ)の入手・取扱い方法に関するメモ.
See also 大気質(大気汚染物質)データ情報

速報値は そらまめ君 (環境省大気汚染物質広域監視システム.Atmospheric Environmental Regional Observation System: AEROS)より,直近7日間だけなら入手可能.

本格的な研究を行う前に, 更新情報(大気環境月間値・年間値データ、時間値データおよび測定局データの更新情報)を 必ずチェックすること. 確定値なり測定局情報なり,「変化するはずがない」ものであっても,後日差し替えられることがある.

データ公開直後であれば,間違いが含まれるのはある程度仕方のないこと. 解析に使ったユーザが間違いと思われる情報を発見した場合,速やかに担当部署に連絡して欲しい.
利用者が増えれば増えるほど,早期に間違いを発見できる(はず).

  時間値データ

  全国

  • 確定値ダウンロード: 国設局(1976年以後), それ以外の常時監視局(FY2009以後) (国立環境研・環境数値データベース以下)
    • 速報値は そらまめ君 (環境省大気汚染物質広域監視システム.Atmospheric Environmental Regional Observation System: AEROS)より,直近7日間だけなら入手可能
    • リリースは極めて遅い.ここ数年(FY2010~2014まで)の状況だと,年度末から約1年半経過後の8-9月になってweb公開される. 繰り返すが,信じがたいほどに遅い.
  • データフォーマット: 時間値データ利用説明書参照 (国立環境研・環境数値データベース内)
  • 基本的には,測定器を管理している自治体(都道府県・市町村など,地域によって多様)に 直接問い合わせて入手するしかない. あまりにも時代錯誤. 公害問題が大きく取り上げられた時代の名残か?
  • たとえ入手できたとしても,自治体により記録フォーマットが異なることが多く, 例えば全国の大気汚染物質濃度に関する解析をおこなうのは, 極めて面倒な作業(記録フォーマットの統一後に解析)をしなければならない. 一人でデータ処理するのは極めて困難.やらない方がマシ.
  • 国立環境研究所と複数の地方自治体による共同研究(II型共同研究.以前はC型共同研究と呼称)の一環として, 可能な限り過去に遡って時間値データを収集中. 2013年度まで収集完了(2015-08-21時点.2009年度以前は,青森・岩手が未収集).
  • 上記の国環研収集データは, 統一フォーマット(単純なCSV形式.年度単位,1県・1測定要素につき1ファイル)で記録. このデータが一般公開されれば, (ほぼ)全国の1時間値データを使った解析が非常に容易になる.一刻も早い一般公開を切に願う.
  • 2009年度以後は,全国の1時間値が利用可能(checked: 2015-08-21, 最新は2013年度)

 自治体別(都道府県 or 市町村単位)

  • 東京タワー:

  月間値・年間値データ

  測定局データ

  • ダウンロード: 測定局データダウンロード
  • 測定局データ利用説明書 (国立環境研・環境数値データベースより入手)
    • 大気汚染物質の種類によっては,解析の際に測定方法や測定機種に注意する必要がある. あらゆる観測データについて言えることだが,「測定値の均質性・品質情報」には注意すべき.
    • 不定期更新.年度ごとに1ファイル.
    • 英語版がない.これだから「日本のデータは入手できない」と諸外国から言われる. もし環境先進国を自称したいのなら,せめて英語版くらいは用意すべき.
    • Google Earth で測定局位置表示できるKMLファイルを作成.FY2017版,一般局と自排局を分割(2020-02-26). See KMLメモ & 観測地点分布 & 大気汚染常時監視測定局. 県レベル以上くらいの狭い範囲にまで拡大すると,まぁまぁ使い物になるだろう. 全国表示だと,かなり鬱陶しい.

 エアロソル(TSP, PM2.5)成分データ

See データ・資料 > 大気質(大気汚染物質)データ情報

関東地方の状況については,関東地方大気環境対策推進連絡会微小粒子状物質調査会議の報告が詳しい. ただ... 正式名称,長い.通称は関東SPM合同調査あたりか. 今となってはPM2.5主体だが,歴史的経緯からSPMの名前が残っているのかな(add 2019-01-30).

海外の大気汚染データ・解析ツール情報

データ

解析ツール

  • HYSPLIT: Hybrid Single Particle Lagrangian Trajectory Model: (checked 2015-07-13)
    • 大気汚染業界の研究で多用されている,forward/backward trajectory tools. 私自身も論文で使用したことがある (See 早崎ほか (2008, 大気環境学会誌)).
    • 必読文献1: Stein et al. (2015, BAMS) HYSPLIT の作成・運営に関与する中心人物たちによる解説論文. 学術的な記述というより,HYSPLIT の宣伝・紹介記事(歴史的背景なども含む)が主であるものの, HYSPLIT 初級者には必読と言える. HYSPLIT の中身について詳細を知りたければ,ここに引用してある原著論文を辿るべし.
    • 必読文献2: 村尾 (2011, 大気環境学会誌) HYSPLIT を使用するなら,この文献に書いてある事柄(流跡線計算の誤差要因,特に注意すべき事項など) を必ず理解すること. まとめにある「流跡線解析チェックシート」でチェック!
    • GUI 画面から,必要事項を選択するだけで流跡線解析出来るので, 「高濃度汚染をもたらした空気塊の起源はどこなのか?」という場面で使われる. 上記の理由から,主に後方流跡線解析が使われる.
    • 流跡線解析を多数回おこないたい場合は,手元のPCにインストールした方がラク. 登録すれば,Windows版, MacOS版が取得できる. UNIX(Linux)版は,Windows版の登録画面に情報あり.
    • ただし,使い方・解釈に際しては,注意が必要. 空間解像度や背景場となる気象条件によっては,HYSPLITの利用が不適切な状況もありうる,
    • 少なくとも,入力データに利用される気象データの時間間隔 & 空間解像度(水平・鉛直の両方)くらいは把握すべし. "Reanalysis" の表記は NCEP NCAR Reanalysis-1 (NNR-1), "GDAS (0.5 degree)" とあるのは, NCEP による GDAS (Global Data Assimilation System). 前者は長期再解析(2.5 degree, 1948-current), 後者は現業データ,つまり「天気予報のために作られた気象データ」である.
    • 再解析データと現業データの最も大きな違いは,気象データ作成に用いられる数値モデル. 再解析では,数値モデルはどの期間でも全く同一. 現業データは,不定期にモデルが更新される(NCEP GDASの場合,年に1回程度の minor upgrade, 2-3年に1回程度の major upgrade がある. 参照: GFS/GDAS Changes since 1991, NCEP). See also 現業気象データ(ページ冒頭の『定義』部分).
  • CMAQ: 現行最新 v5.3beta (checked 2018-12-04)
    • The Community Multi-scale Air Quality (CMAQ) modeling system, 化学反応モデルシステム,open source なので,誰でも取得可能.
    • 気象データは外部から与える(例えば WRF のような領域気象モデルの計算値). CMAQ は,気象データおよび排出量データなどを与え,大気汚染物質の化学反応・輸送過程を計算するという,一連の数値計算システム全体の総称である.
    • CMAQセットアップは,(1) IO API のインストール (pvm関連は外して問題ない),(2) CMAQ 本体のインストール,という順序.NetCDF のインストールが必須.
    • テスト実行だけなら数日の時間を費やせば可能だろうが,研究の使い物になるレベルで数値実験するまでには多大な労力が必要. WRF セットアップとは比較にならない煩雑さ.私見ながら,少なく見ても10倍以上の時間をかける必要あると思う (wrote at 2018-12-04)
    • See also CTM メモ (hysk)

高濃度エピソード関連のメモ

  SPM・PM2.5 関連

SPM・PM2.5 高濃度: 黄砂や煙霧(haze)によるSPM, PM2.5高濃度エピソードのリスト.

以下にPM2.5測定局の測定機種別の水平分布(全国版)を示す. 地域別拡大図は, PM2.5 環境基準,測定法メモ > PM2.5 測定機種別空間分布を参照. 測定機種情報は, 国立環境研・環境数値データベース で配布されている「測定局データ」より得た.

PM2.5測定局(FY2017, 2014, 2011)の測定機種別分布状況(全国分布; update at 2019-11-24). 他の年度での測定局機種別分布は, PM2.5 環境基準,測定法メモ > PM2.5 測定器の機種数の経年変化 を参照.
全国 (FY2017) 全国 (FY2014) 全国 (FY2011)
PM2.5 Monitoring devices in Japan (FY2017) PM2.5 Monitoring devices in Japan (FY2014) PM2.5 Monitoring devices in Japan (FY2011)
PM2.5 常時監視測定局および成分分析の有効測定局数(2010-2017年度). 両者は重複する測定局がほとんど... というかほぼ全部だと思うが? 要確認. 環境省web大気汚染状況から情報ぬきだし. "BG局" = バックグラウンド局,"NA" = Not available (update at 2019-11-24)
年度 常時監視, 一般局 常時監視, 自排局 常時監視, 合計 成分分析(四季)一般局 同(四季)沿道局 同(四季)BG局 同(四季)の合計 成分分析,全体合計
FY2017 (H29) 814 224 1038 117 35 18 170 189
FY2016 (H28) 785 223 1008 119 32 21 172 190
FY2015 (H27) 765 219 984 110 33 20 163 192
FY2014 (H26) 672 198 870 102 34 19 155 180
FY2013 (H25) 492 181 673 81 28 6 115 152
FY2012 (H24) 312 123 435 NA NA NA NA NA
FY2011 (H23) 105 51 156 NA NA NA NA NA
FY2010 (H22) 34 12 46 NA NA NA NA NA

  O3 (Ox)関連

O3 (Ox) 高濃度: オゾン(オキシダント)高濃度エピソードのリスト.

  SO2 関連

SO2 高濃度: SO2高濃度エピソード... というか,SO2濃度に大きな影響を及ぼす火山噴火に関する情報.

更新履歴

Date Changes
2022-05-26 R02 (2020)年度の大気汚染状況報告,追記.
2022-05-18 CASTNET 追記.
2021-06-21 大気汚染状況報告書(R01, FY2019)追記
2020-11-25 報告書情報などのリンク切れ確認,最新年まで更新.
2020-02-26 常監局位置情報のKMLへのリンクを張る(FY2017 測定局マスターファイルから作成).
2019-11-24 PM2.5常時監視局,環境省四季節成分測定局などの局数情報を更新(FY2017まで).
2019-01-30 東京タワー測定値web,関東PM調査会議webへのリンク追加
2018-03-15 PM2.5の有効測定局数(FY2010-2015)の表を追記. 解析期間を変更した場合,継続する有効測定局数が幾つ程度になるか,大雑把な数を知りたくて調べた情報. 私見ながら,全国的な濃度動態を見るならFY2013以後,可能ならFY2014以後が望ましい. でも,PM2.5高濃度が頻発したのって2013年まで,なんだよねぇ.悩ましいところだ.
2017-02-17 領域内濃度時系列に,領域別ページ(1992-current)を追加. 領域1-3 (全国,沖縄,九州), 領域4-6 (中国・四国,近畿,中部), 領域7-9 (関東,東北,北海道)
2016-06-09 領域内濃度時系列へのリンクを追加. ある領域内での代表的な濃度(領域内の各時刻での中央値)や 空間的なバラつき(領域内の各時刻における10% & 90%値)の時系列. 解析期間は 1992-current.要素は Ox, SPM, PM2.5, NOx を対象. 日本全国を含め,8領域(沖縄,九州,中四国,近畿,中部,関東,東北,北海道)を設定.
2015-10-07 CMAQ 関連メモ開始.記述時の最新版は v5.0.2 だった. 2016-01-16 に将来的な記載情報増大を見越して CTM メモ(hysk)として分離.
2015-08-21 PM2.5の環境基準(短期)が間違ってたのを修正.環境省の大気汚染状況へのリンクを追加(いつも所在を忘れる), 常時監視情報のOx, PM2.5を少しだけ追記.
2015-08-09 更新履歴の記録開始.
20XX-XX-XX 正確な作成開始日は不明. 少なくとも九大に異動した時点(2012年)では作成されてた.