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「お気に入り」低気圧 (hysk)

はじめに

印象に残る・お気に入りの低気圧リスト. 文献調査や個人的経験に基づく印象深い低気圧に関するメモ. 時間があるときに思いつきで追記しているため,未チェック期間も多い. 必ずしも学術的に重要・興味深いものばかりではない.

"Man of the year" や "Man of the match" にならって, "Extratropical cyclone of the year" を決めてみよう. 選抜基準は,ひとまず私の個人的趣味で.

See also 気候気象関連 > 高・低気圧,前線

記録・記憶に残る低気圧

List of record-breaking and/or unforgettable cyclones in the Northern Hemisphere

温帯低気圧のうち, 事例研究などで詳細に解析された, 急発達した(いわゆる爆弾低気圧), 大きな社会的影響を与えた,などを列挙. 大気現象でいうと,例えば以下のような低気圧:

  • 春一番や木枯らし一号をもたらした低気圧
  • 春の大雨をもたらした低気圧 (See also Hayasaki and Kawamura, 2012 SOLA)
  • 太平洋岸に降雪をもたらした南岸低気圧
  • 日本海側の大雪(強い冬型の気圧配置)をもたらすきっかけとなった低気圧
  • 大規模な黄砂飛来をもたらした低気圧・前線

台風(熱低)やメソスケール擾乱(polar low など)は対象としない. 時系列逆順(最上部に最新)で記載.

 東アジア・日本周辺

 2010s

  • 2018
    • 2018-01-08 to 01-10: 二つ玉ならぬ「四つ玉」,「三つ玉」低気圧.
      • 00UTC 08Jan 時点で4つ,同日06UTCで三つ玉(center SLP: 北から順に1002, 1004, 1008hPa),06UTC 09Jan 地上天気図(ASAS)で南岸Lと日本海Lの前線とがつながって描かれるようになった(center SLP: 976hPa).
      • この冬一番の寒波,強い冬型の気圧配置.長崎でも積雪7cm超過(2018-01-11 昼時点).
  • 2017
    • 2017-xx-xx: (あまり realtime でチェックしてなかった.後日調査)
  • 2016
    • 2016-02-14: 日本海L,発達.春一番(関東,...).
    • 2016-01-18: 南岸L,関東甲信地方に積雪をもたらす. ASASで表示されてた中心気圧を記録(後日,見易く書き換えせよ). 09JST 17Jan: 1004 hPa (東シナ海), 15JST 17Jan: 1002 hPa, 21JST 17Jan: 1002 hPa (九州の南端付近), 03JST 18Jan: 994 hPa, 09JST 18Jan: 990 hPa (遠州灘付近), 15JST 18Jan: 980 hPa, 21JST 18Jan: 976 hPa (三陸沖), 03JST 19Jan: 972 hPa, 09JST 19Jan: 968 hPa (北海道の南東側),
      • 1日あたりの最大気圧低下量: 26 hPa/(24-hr); 21JST 17 - 18Jan
      • 緯度補正をかけた発達率(24-hr あたりの気圧低下量で計算). 低気圧中心緯度として,09JST 18Jan の 34degN を使用した場合. 60N で規格化した場合: (26 / 24) * sin(60degN)/sin(34degN) = 1.68 Bergeron; 45N で規格化した場合: (26 / 24) * sin(45degN)/sin(34degN) = 1.37 Bergeron;
      • 筑波大・環境アイソトープ研究センターでの観測, 地表気圧が 985 hPa 以下にまで低下(12JST ちょい過ぎ, 18Jan).
      • 露天温度は19Jan未明までは 2℃程度だったが,約12時間で-11℃程度まで低下. 空気塊が入れ替わって,極めて乾燥した状態.
      • See also 【コラム】爆弾低気圧は異常気象か? (吉田聡さん,JAMSTECニュース): 気象庁の週間アンサンブル予報(27メンバ)による予測の実例として紹介.
  • 2015
    • 2015-xx-xx: hogehoge
    • 2015-03-09 to 03-11: 二つ玉L,急発達.北海道へ. 24hr で 30hPa の気圧低下(1010hPa (00UTC09Mar) to 980hPa (00UTC10Mar)). 日降水量 100 mm 超過するなど,3月にしてはかなりまとまった降水.
    • 2015-03-01 to 03-02: 南岸L,急発達.北海道東部へ.24hr で 30hPa の気圧低下(1006hPa (00UTC01Mar) to 976hPa (00UTC02Mar)).
    • (関東での春一番,観測されず)
  • 2014
    • 2014-12-16: 二つ玉Lが急速に発達しながら日本列島縦断.北海道で甚大な高潮被害をもたらした.
    • 2014-11-08: The Berling Sea Superstorm 最低気圧 924 hPa を記録. See Bering Sea Superstorm Among the Strongest Extratropical Cyclones on Record (weather.com)
    • 2014-03-30 to 03-31: 本州上を通過したL急発達.
      • 近畿地方付近で994hPa (09JST 30Mar),三陸沖で 972 hPa. 24時間で22hPa (at 35-40N)の気圧低下.
      • 通過直後,深夜であるにもかかわらず広範囲で地上O3濃度上昇あり (See 大気汚染関連 > O3高濃度 > 2014年3月30-31日).
    • 2014-03-20 to 03-21: 南岸L急発達,三陸沖で976hPa (09JST 21Mar).24時間で28hPaの気圧低下.
    • 2014-03-18: 四国,関東で春一番.日本海L.
    • 2014-02-14: 関東甲信地方において記録的な大雪をもたらした南岸L,その2.
    • 2014-02-08: 関東甲信地方において記録的な大雪をもたらした南岸L,その1.
  • 2013
    • 2013-11-10: 日本海北部で発生,オホーツク海に向かい北上しつつ急発達(発達率歴代9位, checked 2015-01-06)
    • 2013-04-06 to 04-08: いわゆる爆弾低気圧.「台風並みに発達」と報道されて話題となった
    • 2013-03-01 to 03-03: 日本海Lが急発達.九州北部・四国・中国・関東で春一番(03-01). 北海道で暴風雪となり,多数の死者が出た
    • 2013-01-14 to 01-15: 発達率で歴代1位 (九大・爆弾低気圧DBにて, checked at 2014-12-08)となった爆弾低気圧. 四国沖で発生して南岸を通過,北東進. 関東地方で「大雪の成人式(1/14, Monday)」となったことで記憶している人も多いだろう. 1/14は,大雪のため羽田・成田の両空港が閉鎖.関東地方の交通機関は軒並み麻痺状態となった.
  • 2012
    • 2012-11-26: 北海道で大きな被害.送電線の鉄塔が倒れるなどしたため,数万世帯が停電.
    • 2012-04-01 to 04-03: 日本海L, 急発達(発達率歴代5位, checked 2015-01-06),日本各地に強風被害.
    • (関東での春一番,観測されず)
    • 2012-01-13: カムチャッカ半島の南端付近で中心気圧 948 hPa,
    • 2012-01-02 to 01-03: 日本の東海上でL急発達(1002 to 964 hPa in 24 hr),
  • 2011
    • 2011-01-16 to 01-17: 関東の東でL発生,はるか東海上で急発達(発達率歴代10位, checked 2015-01-06)
  • 2010
    • 2010-12-31: 二つ玉L, 西日本に大雪(鹿児島の最深積雪 22 cm; 日降雪量 25cm は観測史上1位)
    • 2010-03-21: 黄海から日本海を進んだ低気圧. 日本列島とほぼ同程度の長さを持つ寒冷前線を伴う. 寒冷前線通過時,短時間ながら極めて高濃度の黄砂をもたらした. See also PM高濃度 > 2010年

 2000s

  • 2009
    • 2009-xx-xx
    • 2009-02-13: 全国各地に春一番をもたらした日本海L.翌14日には北海道へ. 静岡市清水区のmaxT = 26.8℃ (7月上旬並み); 日々の天気図の記事より.
  • 2008
    • 2008-04-01: 日本の東の海上にて急発達(発達率歴代6位, checked 2015-01-06). 30日に東シナ海,31日には日本の南岸.see 「日々の天気図」
    • 2008-02-23: 2つ玉L, 関東地方に春一番をもたらす. See also 小倉ほか (2008, 天気); title = お天気の見方・楽しみ方 (15) 砂ほこりを巻き上げた春一番のウェザー・ウォッチング --2008年2月23日
  • 2007
    • 2007-02-14: 日本海Lが急発達, 西日本〜東日本で春一番.
    • 2007-01-06 to 01-07: 二つ玉L,急発達(発達率歴代7位, checked 2015-01-06)
  • 2006
    • 2006-03-06: 日本海Lがサハリン方面へ.南側の高気圧からの南西風が強く,春一番に.
    • 2006-02-01: 南岸L,急発達(発達率歴代4位, checked 2015-01-06)
    • 2006-01-21: 南岸低気圧に伴い,関東で雪.大手町での日降雪量は10cm (気象庁web,過去の気象資料より).
  • 2005
    • 2005-11-06: 二つ玉L.櫃間(2006, 天気)で取り上げた事例.
    • 2005-02-23: 日本海Lが北西進しつつ急発達.関東・北陸・近畿で春一番. 西日本の広範囲で黄砂日. See also PM高濃度 > 2005年
  • 2004
  • 2002
    • 2002-03-21 to 03-22: 沿海州のLに伴う強風.寒冷前線通過後,ほぼ全国的な大規模かつ高濃度の黄砂を観測,
    • 2002-03-10: 南高北低の気圧配置,九州北部で春一番.
    • 2002-03-05: 東シナ海L,発達しながら日本列島縦断.九州南部で春一番.
  • 2000
    • 2000-03-20 to 03-21: 南岸L,日本の東海上にて急発達(発達率歴代2位, checked 2015-01-06)
    • 2000-03-16: 南岸L,発達しながら通過.九州南部で春一番.
    • 2000-02-07 02-08: 日本の東海上でL発達.Shapiro-Keyser 型の特徴を持った低気圧・前線システム. 津村・山崎 (2005, 天気)の解析対象事例

 1990s

  • 1999
    • 1999-xx-xx
  • 1998
    • 1998-12-06 to 12-08: 二つ玉L.小倉ほか(2006, 天気), お天気の見方・楽しみ方 (7) 二つ玉低気圧 その1 & その2 で取り上げられた事例,
    • 1998-01-15: 南岸L(東シナ海で発生), 首都圏に雪(大手町で 16cm),
    • 1998-01-12: 南岸L(揚子江下流部で発生), 首都圏に雪(横浜で 6cm),
    • 1998-01-08: 南岸L(揚子江下流部で発生, 東北東進), 首都圏に大雪(大手町で 15cm)
  • 1997
    • 1997-12-30 to 12-31: 南岸L(揚子江河口付近で発生, 東北東進), 急発達(発達率歴代8位, checked 2015-01-06)
  • 1996
  • 1995
    • 1995-11-08: 日本海から北海道の北部へ移動しつつ急発達(-44 hPa/24hr).関東でも7日の夜間からまとまった降水になった(はず).see 「天気図日記」. 北畠・三井 (1998b, 天気)で取り上げられた事例.
  • 1994
    • 1994-04-12 to 04-13: 日本海で急発達.Tボーン構造から古典的温暖型閉塞の構造へ変質. 北畠 (2000, 天気)の解析対象.
    • 1994-02-11 to 02-12: 10Feb に東シナ海で発生した南岸低気圧. Takano (2002, JMSJ)の解析対象. 高野 (2005, 天気)でも取り上げられた.
  • 1990
    • 1990-01-31: 南岸低気圧により,関東で降雪. 小倉(1990, 気象, 7月号,p.10960-,「太平洋岸の雪と春一番」)で, 太平洋岸に降雪をもたらした南岸Lowとして取り上げている.

 1980s

  • 1989
    • 1989-01-28: 北海道の東の海上からオホーツク海に移動,急発達(-32 hPa/24hr). 自分が卒業研究で対象とした低気圧の一つなので,個人的に思い入れがある.see 「天気図日記」, 早崎・田中 (1999, 天気)
    • 1989-01-24: 三陸沖で急発達(-20 hPa/24hr). 自分が卒業研究で対象とした低気圧の一つなので,個人的に思い入れがある. 翌25日,さらに東進しつつ発達,中心気圧は 968 hPa (00UTC 25Jan1989)に.see 「天気図日記」. 早崎・田中 (1999, 天気)
  • 1984
    • 東京(大手町)での降雪を何度も観測(正確な降雪観測回数は未確認). 南岸低気圧による. 寒候年合計降雪量(92 cm),歴代1位の年(統計期間: 1953-2014).
    • 1984-01-31: 台湾Lowが北東進しつつ急発達 (09JST31Jan から09JST01Febの24-hrで,1010-hPa から 984-hPaまで発達). 大手町の日降雪量 17 cm (1月の歴代5位, 統計期間 1953-2014)
    • 1984-01-21:
    • 1984-01-19: 揚子江Lowが東進,大手町で日降雪量 26 cm (歴代5位; checked 2015-01-05)

 1970s

  • 1979
    • 1979-10-20: 1979T20 (観測史上最低の中心気圧を低緯度で記録,12日の昼に 870 hPa)が 前日19日に白浜に上陸,日本列島縦断して北海道に再上陸. 釧路沖で海難事故多発により多数の犠牲者. 温低化して再発達した. see 「天気図日記」

 1960s 以前

自分の手元に地上天気図がない.要入手.
噂に聞くサンパチ豪雪の期間は,どんな天気だったのだろうか? 低気圧活動は,どうだったのか? 非常に興味深い. JRA55 ならば解析できる.

 北米

President's Day cyclone とか,QE-II storm とか ... たくさんある. Under construction.

  • 1979
    • 1979-02-18 to 02-19: 北米東岸の各州に大雪をもたらした低気圧."President's Day cyclone" として有名. President's Day はアメリカの連邦祝日(federal horiday), アメリカ初代大統領 George Washington の誕生日 (22 Feb) を記念する日として設定されている. 2月の第3月曜日が該当(02-15 to 02-21 の期間内).
    • 天気予報が大きく外れてしまったことで研究対象となった. Bosart (1981, MWR), Bosart and Lin (1983, MWR), Uccellini et al. (1984, MWR), Uccellini et al. (1985, MWR)

 ヨーロッパ

調査不足. Under construction.

低気圧に関する雑多な情報

いわゆる「うんちく話」に類する情報.

更新情報

更新日 内容
2016-01-19 追加: 2016年1月18日の爆弾低気圧メモ, 2010年3月21日(寒冷前線通過時の短時間黄砂), 2008年2月23日(関東での春一番,砂埃). 2005-2015の関東における春一番をもたらした低気圧. 春一番を観測しなかった年も,「ない」という情報を記載.
2015-01-06 2014年末まで更新.「天気」掲載論文などで取り扱った事例解析情報を追加. まだ全期間通じてチェックしたわけではないが,暫定公開.
2014-02-10 08Feb2014 の関東地方周辺での大雪以後,情報強化の必要性を感じる.研究論文で使われた事例解析情報なども追加.
2012-12-12 テキストメモのHTML化.情報追加.
2008-04-03 印象深い低気圧リストのメモ,記録を確認できる最古の日付.

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